【190212】新宮漁港!アジングサーチ釣行。

娘たちが寝静まる健全なる夜の時刻。
彼女たちの寝息に誘われるように自分も睡魔の底へとゆっくりと静かに包まれるように沈んでいく。静寂の中を遠くで大型犬が吠えているようで、少しだけ寝入り辛い。
きっと、それでもそんなことなんて今の僕には関係がなくなるように、今日もこのまま意識が薄れていって、たっぷりと睡眠をとって、明日の朝、眠たい目をこすりながらの日常が始まるんだろうな。と、その時の僕は思った。
それはそれで健全なる良い日常なのだけれど、なんだか勿体ない気がする。けれども、そうは思いつつも今は睡魔の底へ到達する途中であって、30代の筋力衰える身体とシナプスが途切れゆく脳みそは、そう簡単に安々と何かをするために敏感に動いてくれないわけである。
しかし、今日は違った。
どうしても釣りに行かなければならない気がした。
僕が仕事や育児の間、釣友たちが良型のアジを釣り上げていた。離島に行ってイカも釣っていた。壱岐に住んでる釣友もブリを釣っている。
そんな釣果をただただ指を咥えて羨ましいと焦がれるだけの日常なんてまっぴらだと思った。
釣友よ!!釣りに行き過ぎだろ!冬だろ!もう少し家でゆっくりしてろよ!
風邪ひけ!!ついでにインフルにでもなれ!!
そう思う自分がいる。そしてもう一度振り返る。
どうやら僕はかなり釣りに行きたいようだ。いや、釣りに行かないと死んでしまうような気がする。
病気に罹患している症状が出ている。完治するには釣りに行くしかなかった。
僕は心の中でかなり大きな雄叫びをあげながら上体を起こす。
それくらいしないと、今の安定と安眠という名の重みを引き剥がすことはできなかった。
すぐに起き上がり、リビングのソファでふて寝している愛猫にごはんを与え、妻の負担を軽減させるために洗濯物を干した後、僕は防寒準備をして釣りに向かうのであった。
序盤の序盤
思い立って行動に移したものの、押入れのスライド扉のレールが壊れたせいで時間を費やしてしまった。
我ながら見事にレールの復旧作業は完了したものの、このタイミングでモノが壊れたということは、天命が釣りに行くなと言っているのか?と、疑ってしまうほどだった。なにかある気がする・・悪い予感しかしなかった。
それでも、玄関の扉を開けたとたんに冷たい風が心を引き締め、釣り場へと車を走らせるのであった。
・・・天命のイタズラは未だ発生せず、新宮漁港の駐車場に到着。
しかし・・・釣り場・・誰もいねぇ・・。
新宮漁港から中アジが抜けたことは知っていた。それでもだ・・。メバルやってるアングラーぐらいいるだろうと思っていた僕にとって、この状況はとんでもない誤算だった。
実は、自分なりに新宮漁港や奈多漁港で釣りをしているアングラーと情報を仕入れながらササイカや中アジの近隣情報を入手したかったのである。それが、今回の発作的釣行の要因の一つであったのだから、この誤算はとても大きかった・・。
もはや、孤独に一からサーチしなければならないとは・・。
何もない情報からスタートフィッシング。
序盤
ジグ単で常夜灯まわりを攻めていく。表層を引いてはボトムや中層を攻めてはランガンしていく。
海面では一切ベイトが跳ねたりすることはなかった。ふむ・・釣れる気配がせん・・。
アングラーがなぜ一人もいないのか分かった頃だった。
それでもテトラのキワ周辺を探っていると、コンコンと小さなアタリをロッドが捉える。
小さなメバルさまが喰ってきました。
ありがたやぁありがたやぁと感謝を込めてリリース。同じように引いていくと、また同じサイズが釣れる。サイズアップはしなかった。
眠れるアングラーたちよ・・。
新宮漁港にメバル(チビだけど・・)いるぞ!!!
再現性を確立させたところで、別の場所でランガンを続けていく。スタートして1時間が経過していた。もうそろそろエギングに移行した後に奈多漁港のサーチへ向かわなければ明日の勤務に支障をきたすぞ・・。と思いながらも、レッドブルでも飲めばなんとかなるかなぁーと思いなおしてみる。
そう思っていた矢先に明確なアタリを捉え、アワセる。しかし、乗らず・・。再び同じ場所に向かってキャストして探っていくと再びアタリがあってアワセる。今度はのった。
しかし、この魚・・。
するすると軽い引き抵抗で巻き上げるときもあれば、引く時はドラグ音を出しながら逃げていく。さらに首の振り方が変な感覚だったので、スレ掛かりのような感覚がした・・。慎重にしなければバレる・・。そう思って、とにかくバレないようにゆっくりと距離を縮めていくと、やっと常夜灯の明かりで視認できる表層へと魚あ浮上してきた。
え?なにこれ?うねってる・・。
距離をさらに縮めると、正体が分かった。
細長い口元に長細いシルエット・・さらに尾びれの中央から糸のようなヒレ・・。
アカヤガラじゃん・・。
しかし、何故この海域に・・?とりあえず、ランディングしなければ・・。
ぶり上げることが不可能と判断し、闇が広がるテトラに移動し、アカヤガラの口元を握ってハンドランディングが成功する・・。うむ・・相変わらずヌメヌメ感が激しい・・。
しっかりと、際どい場所に上顎にフックが刺さっております。
以前、アカヤガラを釣ったことがあり、その時にアカヤガラが高級魚だということも美味しい魚だということも知っている(捌くと歩留まりが超絶悪いことも知っている)僕の心は、サーチを続行するか急いで帰って捌くかの二択に大きく揺れた・・。
釣友たちのグループラインにすぐさま写真を電子の速度にまかせて送信する。懇親のドヤ顔で。
そうすることで、揺らいでいた気持ちを再び固め、僕は続行を選ぶ。
アジは絶滅したと言い聞かせて。
アカヤガラは悠々の海の闇へと泳いでいった。
中盤
ジグ単からエギにチェンジしてサーチを開始する。墨跡はまったくない。どうやら誰もササイカを狙ってはいない模様。もしくはササイカが入ってきていない模様。
それでもランガンしていると、つい最近見たことのある物体を視認する。
憎き・・憎きソデイカめ・・。
番で海面をエンペラでパタパタと水浴びしております。
リーダーが擦れていないことを確認して、番の奥へキャストすると、すぐにエギに反応した番が近寄ってくる。そして、意図的にテンションフォールをすると急接近してラインが引き込まれる。
どうやらサイトソデイカ釣法を確立した模様。
今、自分が分かっている限りの力加減で制御してラインブレイクしないようにアワセる。
相変わらずのジェット噴射でスプールが逆回転して遠く遠くへとソデイカは進んでいく・・。もうその引き味といったらエイそのもの・・。とにかくうぃーーんうぃーーんと永遠と進んでいく・・。
永遠な気がして、なんだか物怖じしてゆっくりとドラグを締めていく。
それでもソデイカのパワーは依然強く、その推進力は止まることがなかった。それでも、ゆっくりとロッドを立てながらポンピングでラインを回収しようと試みる。
無理だこれ・・今となっては場所を移動しながらテトラなんかの障害物を回避しながら長期戦に持ち込むこともできたと思う。けれども、その時の僕は指ドラグを選択した。釣果よりも挑戦を選んだのである。
ドラグ音によるものなのか分からないけれど、猫が近くに寄ってきてにゃぁにゃぁ鳴いている。瞬時に黒猫・オスであることを視認する。どうやら、僕は周りが見れるほど冷静のようだった。
まずは親指のはらでスプールに軽く触れてみた。グローブを経由してスプールに触れているのでたいしたブレーキにはなっていない模様。
そのまま徐々にゆっくりと圧をかけていくと、ブレーキとして機能してくれたようでソデイカの推進力が若干衰えた気がした。
うん・・。多分・・いける!
指ドラグをしながらのポンピングで若干距離を縮める。いける・・。ソデイカに対抗できてる・・。
しかし、何度目かのポンピングの際、指ドラグでロッドを立てている時にソデイカの強力な逆噴射によって生命感が途絶した・・。痛恨のラインブレイク・・。
あいつ・・本気じゃなかったんか・・
暗闇と常夜灯。煌めく海面と凪いだ向かい風。僕の呼吸と猫の鳴き声。指先の冷たさとフェイスガードの暖かさ。ガッチリとピースが噛み合う音がした。
さ!奈多漁港行こう!
後悔や泣き言や悔しさを全て新宮漁港へ置いていってやる!!
僕は逃げるように車へと乗り込んだ。
いざ、奈多漁港へ。
終盤
奈多漁港に到着した。
釣り人はいない。
海面の生命感もない。
とりあえず、波止場を歩いて墨跡チェックをしながら歩き続けるも痕跡らしい痕跡はなかった。
ジグ単を投げる。投げ続ける。
なにも変化もなく時間だけが過ぎていく。
ソデイカの記憶が追い打ちをかけるように心に染みるのを知覚しつつ、そして僕は自宅へ帰る。
完敗・・。天命に負けた・・。
調査に失敗した。
あとがき
次の日。
なぜ、あんな場所でアカヤガラが釣れたのか調べてみた。
どうやら、アカヤガラは温かい海の船釣りで稀に釣れ、繁殖は冬で浅場で産卵するとのこと。とりあえず、本来ありえない海域(港)にいたようで、それを釣ったようだ・・。
考えられる理由は、
① 死滅回遊
つまり、回遊性のない魚が海流に乗って生育の厳しい海域へとやってきて、そこで死んでしまうこと。
② アフター状態
産卵で弱った個体が港内で栄養を蓄えていた。
かなぁっと考えております。なお、①にあっては寒ブリなどもそうですが海水温が温かいことであんまり釣れていないようすです。なので、死滅回遊だとすれば海水温が下がった指標となるので、これからの寒ブリが熱いのかなぁっと考察する。
たまたまレアな魚を釣ってしまいましたが、本来の目的であるサーチがうまくできていないので、今後とも調査をしながら釣りたい魚を狙ってみたいと思います。
「大丈夫」という言葉は、絶対に信じない
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