【ロードレース小説】近藤史恵先生の著書「サクリファイス」を読む!

【ロードレース小説】近藤史恵先生の著書「サクリファイス」を読む!

2019年の夏から通勤ロードバイクを始めたswitchですが、実は・・むかしから読書が趣味でして・・たくさんの本を読んでいます(最近は忙しくて月2〜5冊程度)。

そんな読書ではありますが、読了した本の中でも「この本、また読みたい!」と思えるような再読する本にはなかなか巡り会うことは意外と少ない気がします。なので、「再読したい!」と思える本がswitchにとってインパクトに残った小説だと考えており、そんなインパクトに残った小説の一つがこの「サクリファイス」です。

当時の僕は、ロードバイクとクロスバイクの違いすら分からないズブの自転車素人でしたが、サクリファイスという物語は自転車のことを知っていなくてもとても面白い小説で、間違いなく今、僕がロードバイクに乗っているキッカケの一つになっていることは間違いのない事実です。それくらい影響を受けてます!(読んでから約10年ほど経過していますが・・)

今回はそんな「サクリファイス」という小説の面白さを、この記事を読んでくれる人に知ってもらいたいと思い、ネタバレなしで解説させて頂こうと考えています。

それでは、まずは近藤史恵先生の略歴から!

 

近藤史恵先生の略歴

 

大阪府出身。

大阪芸術大学文芸学科卒業後、1993年『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞し、デビューする。2006年より、母校の大阪芸術大学文芸学科客員准教授に就任。

2008年、『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞。

大学時代、歌舞伎の研究をしており、『ねむりねずみ』『桜姫』『二人道成寺』など歌舞伎を題材にした作品が多い。

女流ミステリ作家として知られているが、恋愛小説やスポーツ小説、コーエーの女性向け恋愛シミュレーションゲーム「遙かなる時空の中で」のノベライズなども手がける。

(ウィキペディアより引用)

 

サクリファイスのようなスポーツ系小説はアウトレンジで、本命はミステリーを書く小説家さんだと思っていましたが、恋愛やノベライズも書いていらっしゃるマルチな小説家さんですね。

それでは、さっそくサクリファイスの登場人物を紹介していきます。

 

登場人物紹介

 

白石誓【しらいし ちかう】・・・インターハイ1位になったことがある陸上中距離3000mの選手だったが、18歳の夏、深夜に中継されていたツール・ド・フランスを観てロードレースの世界に魅了され、陸上の推薦を蹴って、自転車競技に強い大学へ入学し、卒業後はチームオッジへ入りアシストを任されている。愛称はチカ。この主人公。

伊庭和美【いば かずみ】・・・チームオッジのスプリンター。チカと同じく大学を卒業して社会人2年目の23歳。癖毛でくるくるとあちこちに跳ねた髪と童顔で穏やかで優しそうに見えるが、大人しげな外見と辛辣な口調のギャップのせいか必要以上に敵をつくるタイプで、チームの中に仲が良い人間はいない。酒豪。

石尾豪【いしお ごう】・・・チームオッジのエース。日本を代表する自転車選手。33歳。身長は162センチと小柄で細い。坂道を笑顔で登るクライマー。

赤城【あかぎ】・・チームオッジ最年長の36歳。髪を剃り上げて丸い眼鏡をかけた容貌はスポーツ選手やサラリーマンにも見えない前衛芸術家の雰囲気。エース石尾のアシスト。

袴田一平【はかまだ いっぺい】・・・元ロードレーサー。落車によって下半身不随となる。現在は車椅子ラグビーの選手となっている。

初野香乃【はつの かの】・・・主人公チカの元カノ。小学生のころから幼馴染。

マルケス・・・サントス・カンタンのコンチネンタル・プロチーム。ツールドジャポンでスカウト。

江口・・・チカよりも1年先輩。

山中・・・チームオッジの中堅アシスト。

篠崎・・・チームオッジの中堅アシスト。

斎木監督・・・チームオッジの監督。

 

あらすじ

 

陸上競技から自転車競技の世界へ移り、勝利へのプレッシャーから開放された主人公の白石誓は、大学を卒業して2年目のツール・ド・ジャポンでエースのアシストとして石尾豪を勝利へ導く役割を担っていた。そこでの成績が評価されて、チームの代表として、リエージュ・ルクセンブルクというヨーロッパのレースに参加することになる。

誓はヨーロッパチームで自転車に乗る夢を追い求めながら、3年前の石尾と袴田の二人に起きた事件に巻き込まれていく・・ヨーロッパで久しぶりに出会った高校時代の元恋人、香乃との出会いによって事件はペダルを踏み込むように最初はゆっくりと徐々に加速しながら力強く動き出していく。そして、ひとつの悲劇が訪れる・・。

 

と、あらすじを書いてみました。

ロードレースを題材にしている小説なのでスポーツ小説かと思いきや、誓の高校時代の恋愛やその当時の恋人の香乃も登場してくるので恋愛小説も含まれていますし、悲劇の事件を推理していくので推理小説でもあります!なんというか、それぞれのカテゴリがうまく綯交ぜになって、終盤の10章のサクリファイスへと繋がっていきます。そのテンポは本当にロードレースの世界にいるかのように速い展開で止まることなく読めました!

 

「サクリファイス」のここが面白い!

 

自転車競技やロードバイクを知らなくてもただただ面白い!

ロードレースの小説なので、自転車(競技)用語が出てきます。

「タイムのカーボンフレームを、カンパニョーロのレコードで組んだ」

「『あいつ、まるで、ペタッキか、チッポリーニ気取りだな』」

のように、よく分からない(今はわかる。調べたから。)単語が登場しますが、序盤に自転車競技のルールや説明を小説の中で展開の一つとして書かれてあるので、この小説を読めば自転車競技のことを学ぶことになります。

「平地ではなにも感じない自分の体重が、坂道ではそのまま負荷となって、

ペダルと心臓にのしかかる」

それに、↑の文章でも分かるように、自転車を知らなくても想像することができます!また、この文章を自転車を知っている人が読めば、嫌な実体験がまぶたの裏に映るレベルでフラッシュバックを引き起こします(汗)。

 

本格的自転車競技小説かと思いきや・・

この本がロードレースの小説でありながら、推理小説でもあり恋愛小説でもあるという点も、自転車競技を知らなくてもスピード感を感じながら読める一つの要因となっていると思います。

「彼が好きなの」

胸を鷲掴みされた気がした。鈍い刺激が心に広がる。

それが痛みだと自覚するのには時間がかかった。

もう・・この文章なんか・・青春だった記憶を掻き乱されて胸が痛い・・。(ぐは・・)

 

自転車競技の面白さに触れることが出来る

なんで、後ろに張り付くようにくっついて走るの?ロードバイクって何キロ出るの?エースとアシストって何?といった、初心者が疑問に思うロードレースの疑問をこの小説が面白さを伴いながら教えてくれます。逆に、ロードレースで生きていくことの苦悩も教えてくれます。

 

この小説の熱が今、日本のロードレース界を具現化している

この小説が刊行されたのは、初版で2007年8月30日。(偶然にも再読了日が8月30日・・。)

当時の日本では世界に輝くロードレーサーがいないさきがけの時代だったのですが、サクリファイス刊行から2年後のツール・ド・フランスで新城選手や別府選手が出場していますね・・。さぞや近藤先生は歓喜したことでしょう!

現在となっては、まだまだ発展途上ではありますが、たくさんの日本人選手が世界で戦っています。なので、10年前の小説ではあるけれど、ちょっと昔の日本のロードレース界を垣間見ることができます。

 

まとめ

 

いかがでしたか?

ロードバイクを知らなくても知っていても、小説「サクリファイス」は十分に自転車競技の世界を楽しめる作品です!しかし、間違いなくロードバイクの世界を知っている人の方が深みを味わえる作品だと思います。だからこそ、ロードバイクに乗っている人は是非とも「サクリファイス」を読んで欲しいと思っています。

 

もうすぐ夏が終わって秋が深まっていきます。読書の秋でございます・・。是非、読んでない方は読んでみてはいかがでしょうか?

 

ぼくの勝利は、ぼくだけのものではない。

switch